J-GP2クラスのレースが始まる1時間ぐらい前から雨が降り出し、ウエット宣言が出される。このため22周から5周減算の17周で争われることが発表され、各ライダーはレインタイヤを履いてグリッドに着いた。 ホールショットを奪ったのは、4連勝を狙う高橋裕紀。これに4番手グリッドの関口太郎、生形秀之、井筒仁康、岩田悟、渥美心、石塚健、長島哲太、岩崎哲朗と続いて行く。オープニングラップは、高橋が制し、生形、井筒、岩田、関口の順で2周目に入るが、高橋と井筒がやや抜け出して行く。ペースの速い井筒は、高橋の背後につけると4周目にトップに浮上。そのままレースをリードして行く。高橋の背後には生形が迫り、5周目に前に出て行く。その後方では、渥美、日浦大治朗、関口、長島と続いていた。トップを行く井筒は、2番手以下を引き離し独走態勢を築いて行くが、6周目の5コーナー立ち上がりで転倒があり、マシンがコース上に残ってしまったため赤旗が提示されレースは中断。 5周終了時点の順位でグリッドに着き、残り8周で再スタートが切られる。再び高橋がホールショットを奪い、生形、井筒、岩田、日浦、関口、長島、渥美と続いて行く。高橋は、いつも通り全力の走りでレースをリード。これを逃すまいと生形もピタリと背後につけるが、3番手につける井筒のペースが上がらずズルズルと後退して行く。 高橋は変更したサスセットに対応するためにライディングをアジャストしていたが、3周目の1コーナーでオーバーランを喫してしまう。これで生形がトップに立ち、2秒以上のリードを築くことに成功する。後方では、長島が3番手に上がり、単独走行となり、岩田、渥美、関口、日浦、石塚、作本輝介と続いて行く。 トップ争いは、逃げる生形を高橋が追い、その差はジリジリと詰まってきていた。最終ラップには、ついにテールtoノーズとなり、勝負どころとなる90度コーナーでは、生形がトップを死守。セカンドアンダーブリッジを抜けビクトリーコーナーを左、右と切り返す最終の右で、高橋は生形のインに入り込むと、両者は接触し転倒。そのままアウト側のグラベルにすべって行く。ここで高橋はクラッチを握りエンジンを止めなかったこともあり、驚異的な速さでコースに復帰しトップでゴール。しかし、レース後にレースディレクションは、高橋を失格とし、ペナルティポイント5ポイントの罰則(次大会の予選ベスト5タイム抹消)を科す裁定をくだした。このため、長島が繰り上がり優勝。2位に関口、3位に岩田というリザルトとなった。以下、渥美、作本、佐藤太紀と自己最高位でフィニッシュ。長尾健吾、大木崇行、山元聖と続き、井筒は10位でゴールするのがやっとだった。 生形は転倒した際、軽い脳しんとうを起こしていたが、何とか再スタートし11位でゴール。高橋がノーポイントとなったため、ポイントリーダーに浮上することになった。
優勝/#72 長島 哲太 Teluru TSR 『タナボタの優勝ですが、内容的にはまだまだな部分が多かったと思います。ただ、ドライでは、決勝日朝のウォームアップ走行で自己ベストを更新できていましたし、徐々によくなっていました。カレックスで雨の決勝を走るのは初めてだったので、不安要素がありましたが、赤旗中断でマシンをアジャストできたので、いい方向に行っていました。今回の経験をCEV(FIM CEV Repsol Moto2ヨーロッパ選手権)での後半戦に生かして行きたいです』